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【トナカイ革編】 エキズチックレザーとは?種類のまとめ

「トナカイ革」は、一般的に「カリブーレザー」や「レインディアレザー」「レインディアスキン」などと呼ばれています。
質感は、とても滑らかで柔らかく、しっとりとしていて「鹿革」と非常によく似ていますが、「鹿革」と比べた時に革の厚みが薄いのが特徴的な革になります。
トナカイの生息地がアラスカ州(アメリカ合衆国)やカナダ、デンマークなどの北極圏周辺であり、寒冷な環境でも寒さを感じないように分厚い体毛に覆われている為、皮膚自体は薄くなっています。

また、子供の「カリブーレザー」は「鹿革」よりも「羊革」に近い柔らかさといわれています。
「カリブーレザー」は、知名度も少なく「牛革」などと比べると圧倒的に流通量が少ないので、必然的に製品の数も少ないです。
知っている限りでは、LOUIS VUITTON(ルイビトン)からレザーパンツ、HERMES(エルメス)からジャケットなどが作られていました。
いずれも品質表記は「レインディアスキン」だったと思われます。

そんな「トナカイ革」で最も有名なのが「ロシアンカーフ」と呼ばれるもので、あの「馬革」の「コードバン」と並んで幻の革と呼ばれているほど稀少性の高いものになります。

「ロシアンカーフ」は、1700年代のロシア帝国において生産されていたもので、伝統的なベジタブルタンニン製法で鞣されており、しなやかで耐久性と撥水性に富んでいる高級皮革でした。

ロシア帝国の重要な輸出品として西欧諸国に輸出されていましたが、ロシア革命前後の時期に具体的な鞣し製法(道具・工程・材料)などが消失した為、2016年現在、「ロシアンカーフ」を再生産することが不可能となっています。

「ロシアンカーフ」は、素晴らしい赤の色合いの銀面に確認できる、一辺が5mm程度のキルティングのようなダイヤ模様が外見的な特徴になります。
このダイヤ模様は、トナカイ本来の皺やシボとは関係なく、鞣しの後に木製のブロックで型押しされたものです。

「ロシアンカーフ」の仕上げは、2~3カ月程度の時間をかけて、白樺オイル(バーチオイル)が塗られます。白樺オイル(バーチオイル)には害虫を寄せつけない防虫効果があります。
その結果、錆びに似た独特の芳香を発していて、この独特の芳香は、保管状態から製品化して外気に晒されると、約3~4年程度で気にならなくなると言われています。

現在、市場に出回っている「ロシアンカーフ」の簡単な歴史と説明は以下の通りです。

1786年に「ロシアンカーフ」と麻を積載したキャサリナ・ボン・フレンズバーグ号(Die Frau Metta Catharina von Flensburg)が、ロシア帝国のサンクトペテルブルクからイタリアのジェノヴァへ向かう途中、嵐の為、イングランド近海のプリマス湾で沈没してしまいます。

キャサリナ・ボン・フレンズバーグ号が沈没してから187年後の1973年になって、考古学調査団体がこの難破船を発見します。
船体はもう跡形もありませんでしたので、積荷を引き上げたところ大量の「ロシアンカーフ」が発見されました。「ロシアンカーフ」はきつく束ねられ、硬い草を編んで作られたマットに包まれていました。しかし、マットの大部分が分解していた為、外側の革の多くは状態が悪く、触れると濡れた紙のように破れるものもあったそうです。

海底に187年間も眠っていた「ロシアンカーフ」を真水に数日間浸し、塩分と黒い泥を取り除いてからフレームの上で乾燥させました。
続いて、かつてロシア帝国の鞣し職人が使用していたものと同じ材料を用意して仕上げ処理を行い復刻させたものになります。

沈没船を発見したダイバーで、チャールズ皇太子の布告によって革の回収を許可されている唯一の人物は、既に潜水をやめていますが、今日なお「ロシアンカーフ」の40%は、プリマス湾で、空気に触れることなく眠っていると推定されてます。

「トナカイ革」自体は、流通量が少ないだけで価値のあるものでもありません。
「ロシアンカーフ」に使用されている皮が、現在は絶滅してしまったトナカイのものということでもありません。
消失してしまったロシア帝国時代の鞣し製法も、おそらく現代の最先端の鞣し製法を用いれば同等の品質にする事が可能だと思われます。

つまり、「ロシアンカーフ」そのもの自体に特別な価値は無いと思われます。
「187年の長い間、海底で眠り、時を経て引き揚げられた革」であるという事実が「ロシアンカーフ」の最大の魅力と言っていいかもしれません。

ロシアンカーフ


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