「アザラシ革」、「オットセイ革」は、一般的には「シールスキン」や「シールレザー」、「シール」などと呼ばれています。
「シールスキン」は、厚みがあって丈夫という特徴があり、銀面には、頭のほうから尾にかけて波のようにうねった模様があるのが特徴的で、子ヤギの革に似ていると言われています。
「シールスキン」は 熱を逃がさず、とても暖かい為、コートなどの防寒着や、ブーツなどの防寒靴に使用されています。
ちなみに「シールスキン」の中では「アザラシ革」よりも「オットセイ革」のほうが上質です。
昔は、日本でもアザラシ猟が行われていて、最盛期は年間で2500頭ほどが捕獲されており、国内で「シールスキン」(主にアザラシ革)を使用した鞄などの製品が作られていましたが、環境保護の流れが盛んになったことや、ファッションの材料としての需要が低迷したこと、輸入「アザラシ革」流入等の理由により昭和50年代には、商業的なアザラシ猟は行われなくなりました。
現在では、アザラシの捕獲は法律で禁止されている為、北海道の限定された地域での有害獣駆除を目的とした捕獲がわずかにされているのみです。
代表的な「シールスキン」は以下の通りです。
○ 「ハープシール(タテゴトアザラシ)」
「ハープシール(タテゴトアザラシ)」は体長1.8m~1.9m、体重120kg~135kgの個体で、基本的に雌よりも雄の方が大型です。
生後14日程度までの幼体は全身が白い体毛で覆われていて、その後灰色の体毛に生え変わります。
雄の背中にアルファベットの「U」の字を逆さにしたような暗色の斑紋が入り、この斑紋が竪琴(たてごと)=ハープのように見えることが和名や英名の由来です。
「ハープシール(タテゴトアザラシ)」は、主に毛皮用に鞣され、防寒衣、防寒靴等に使用されていて、カナダのバフィン島周辺で、数多く捕獲されたことから、商業取引名は、「バッフィンシール」としても知られています。
○ 「リングシール(ワモンアザラシ)」
「リングシール(ワモンアザラシ)」は体長1.4m、体重90kg程度のアザラシの中でも小さい部類に入る個体です。
新生児は、白い柔らかい毛で被われていますが成長すると体毛の色は銀灰色から暗灰色に変化し、背中に白や明灰色でリング模様が散在します。
「ハープシール(タテゴトアザラシ)」同様に毛皮として利用されるのが一般的です。
○ 「ケープシール(ミナミアフリカオットセイ)」
「ケープシール(ミナミアフリカオットセイ)」は体長2m~2.3m、体重200kg~360kgに達するオットセイ属でも最大の個体です。
体毛は、分厚く背部は暗灰色で、腹部は黄色になり、「ケープファーシール」とも呼ばれています。
「ファーシール」とは英語で毛皮アザラシという意味で、前述した通り、アザラシよりも分厚く質の良い毛皮が取れる為、この名前がついたと言われています。