古くから革製品に利用されていて流通量も多く、
革素材の代表格である牛革ですが年齢や性別などにより名称や性質の違いがあります。
○ 「ハラコ」
「ハラコ」とは、出産前に死亡した胎児や、産まれた直後に死亡(死産)した仔牛の革のことです。
基本的に毛(産毛)のついたままで使用されることがほとんどです。
語源としては「腹子」、お腹の中の子供の革を使うので「ハラコ」と呼ばれます。
出産されてない仔牛という意味で、「アーボンカーフ」とも呼ばれています。
上記の理由から市場に出回ることは、ほとんどなく最高級素材となります。
通常販売されているものは、ポニー(成体で体高が140cm程度の小型の馬)を便宜上ハラコと称して販売しているケースがほとんどになります。
○ 「ベビーカーフ」
「ベビーカーフ」とは、生後3ヶ月までのタンニン鞣しで加工された仔牛の革のことです。
高級といわれる「カーフスキン」よりもさらにしっとりと柔らかく、キメ細かな革で傷が少ないです。
通常の「カーフスキン」は1枚あたり120ds(革の面積の単位で1ds=10㎠)程度ですが「ベビーカーフ」は、70ds程度しかなく厚みも薄いです。
流通量が少なく希少な素材なので値段も高い為、高級ブランドで使用されています。
○ 「カーフスキン」
「カーフスキン」とは、生後3ヶ月~6ヶ月までの仔牛(乳牛種の牡が大半を占めています)の革のことです。
若い牛だけに傷が少なく、大人の牛の革に比べてキメ細かい革になり高級品となります。
一般的に財布、高級靴、鞄などに使われています。
ちなみに、「カーフスキン」はその重量で呼び名が変わります。9.5ポンド(90ds)以下のものを「ライトカーフ」、9.5~15ポンド(130ds)ものを「ヘビーカーフ」と呼びます。
○ 「キップスキン」
「キップスキン」とは生後6ヶ月~1年未満(2年未満とされることもある)の牛の革です。
「カーフスキン」についで上質な革であるとされ「中牛革」とも呼ばれています。
「カーフスキン」よりも繊維の密度が高い為、強度があり厚く丈夫さを保ちます。
ちなみにヨーロッパでは「キップスキン」という区分はなく、アメリカ独自の区分になります。
○ 「ステアハイド」
「ステアハイド」とは生後3ヶ月~6ヶ月程度で去勢され、生後2年以上が経過した雄牛の革のことで、牛革の中でも最も一般的なものです。
肉牛として育成された牛を食用とする際の副産物になる為、生産量が非常に多く、通常「牛革」というとこの「ステアハイド」のことを指します。
去勢されている為、気性が穏やかになり、身体にできる傷も少なくなります。
表面のキメ細やかさは「キップスキン」に近いです。
柔らかさと強さを持ち、レザージャケット、ソファ、レザーパンツなど非常に様々な用途で利用されています。
○ 「ブルハイド」
「ブルハイド」とは去勢されずに、生後2年以上経過した雄牛の革のことです。
去勢されていないため牛革の中で最も固く丈夫ですが、柔らかくありません。
また、雄牛は気性が荒いため、傷も多く、キメも荒い為、丈夫さが必要とされるワークブーツや靴底や工業用革ベルトに用いられることが多いです。
○ 「カウハイド」
「カウハイド」とは去勢されずに、生後2以上経過した出産経験のある牝牛の革のことです。
牝牛の為、雄牛である「ステアハイド」や「ブルハイド」よりも柔らかく薄いが、仔牛の「キップスキ」、「カーフスキン」より厚みがあり、丈夫なのが特徴です。
「カウハイド」も「ステアハイド」と同じく、牛革の代名詞的存在である為、靴、バッグ、レザージャケットなど様々な分野で使用されています。
出産を経験した牝牛なので、ベリー(腹部)が伸びやすくなっているのが特徴です。
○ 「まとめ」
年齢 | 性別 | その他 | |
---|---|---|---|
ハラコ | 産前、出産直後 | - | 毛(産毛)のついたまま |
ベビーカーフ | ~生後3ヶ月 | - | タンニン鞣し |
カーフスキン | 生後3ヶ月~6ヶ月 | - | |
キップスキン | 生後6ヶ月~1年未満 (2年未満とされることもある) | - | |
ステアハイド | 生後2年以上 | 雄牛(オス) | 生後3ヶ月~6ヶ月程度で去勢 |
ブルハイド | 生後2年以上 | 雄牛(オス) | 去勢されていない |
カウハイド | 生後2以上経過 | 牝牛(メス) | 出産経験のある |