革ジャンの修理で最も多いのが、ファスナー関連の不具合です。
その中でも、一般の方がご自分で修理可能な場合と、やり方について、説明していきたいと思います。
今回は、ファスナーを閉めても、うまく噛み合わずに開いてしまう状態の原因と修理方法です。
原因と修理方法
ファスナーが噛み合わなくなってしまう原因は、大きく分けて2つあります。
1. ムシ(連続した金具部分)の不具合の場合と、修理方法
ムシが原因の場合、一部のムシが取れかけていたり、変形している場合があります。
その場合、根本的な修理のためには、ファスナーを交換する必要がありますが、一時的に使えれば良い場合、不具合を起こしているムシを外してしまいます。
ニッパーで外せますので、ニッパーで不具合を起こしているムシを外します。そうすると、普通に使うことが出来ます。
ただ、不具合を起こしているムシが1つだけの場合などです。
何個も外してしまうと、使えなくなってしまいますので、何個も連続してムシが不具合を起こしている場合は、ファスナーを交換するしかないです。
このムシが原因の場合は、比較的少ないです。バイク転倒時などで、強力な力が一部に加わった時などに発生します。
2. スライダー(動かす部分)の不具合の場合と、修理方法
勘違いされているお客様が多いのですが、ファスナーの噛み合わせが悪い場合、圧倒的にこちらの原因の方が多いです。
スライダーの内部寸法と、ムシの寸法は、かなりの精度で一致しなければ、不具合が起こります。
ファスナーを閉める時、スライダーがムシを通過しますが、スライダーは左右のムシを噛み合わせ、外れないようにします。
しかし、長年使用していくと、スライダーの内部が磨耗により削れ、寸法が微妙に変化してしまいます。
結果、スライダーの内部寸法が大きくなり、ムシの噛み合わせが緩くなります。
そうすると、ファスナーを閉めても、開いてしまうという現象が起こります。
修理方法は、大きく分けて2つあります。
1. スライダー自体を修理する
スライダー自体を修理する場合、磨耗によって広がってしまった内部寸法を小さくすれば良いわけです。
具体的な修理方法は、ペンチでスライダーを挟み、閉めます。これだけです。
しかし、微妙な力加減が必要ですので、本当に少しづつやらないと、スライダー自体が壊れますので、ご注意ください。
また、閉めすぎると、ファスナーが使えなくなります。
当社では、0.01ミリ単位で測定可能な測厚器を使用して、徐々に調整していきます。
※ この方法は、100%直る方法ではありません。
2. 同じスライダーに交換修理する。
こちらの方法の場合、一般の方ではスライダーの入手も難しいと思いますし、作業自体も難しいと思いますので、ご希望の場合はお問い合わせください。