革製品のほつれ補修は、当社に多い依頼の中の一つです。
革自体は、長期間使うことが出来ますが、一般的に糸の方が弱く、よく擦れる場所や、力のかかる場所は、比較的簡単に切れてしまいます。
ほつれ補修の個所で多いのは、財布のカド、バッグの入り口、ジャケットの袖口や裾、ポケット、袖の付け根です。
こちらの写真のほつれ方は、特殊です。
力がかかってほつれたというよりは、糸自体の劣化でほつれてしまった感じです。
さすがにこのレベルになると、一般の方が作業するのは難しいと思いますが、数針だけほつれた程度であれば、一般の方でも作業は簡単にできます。
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簡易的なほつれ補修のやり方
ほつれ部分は、そのままにしておくと、どんどん広がってしまいます。
ここでは、切れてしまった糸を処理することで、これ以上ほつれが広がらないようにするやり方をご紹介します。
適当な革に、縫製して、ほつれを作ってみました。
まず、最初にすることは、ほつれた糸を程よい長さに切ります。
写真だとあまり変わってないように見えますが、大体1mmくらい出てる状態にします。
その後、ライターであぶります。
革製品の糸は、大体がポリエステル100%なので、ライターであぶると、溶けて縮み、針孔の中に入り込み、固まります。
革は、難燃性に優れているので、燃えることはありません。(※ 後述の注意点は注意して下さい)
こうすることで、これ以上ほつれが広がるのを防ぐことが出来ます。
ライターであぶる時間は、1秒くらいです。あぶり過ぎると、革の色の変化や硬化が起こるので、気を付けて下さい。
また、以下の点も気を付けて下さい。
※ 合皮の場合、ライターであぶると、合皮部分が溶けます。
※ ナチュラルな仕上げの革の場合、色が変化する場合があります。
※ 起毛側の場合、起毛部分が燃えることがあります。
※ ライターであぶっても、糸が溶けない場合は、ポリエステルの糸ではないので、すぐにやめて下さい。
火を使わない方法
前述の火が使えない場合などは、別の方法もあります。
糸を1mm程度の長さまで、切るところまでの手順は同じです。
その後、ライターであぶる代わりに、ボンドをピンセットや爪楊枝など先の細いものに少量付けて、針孔に突っ込みます。
そうすることで、糸の先端が革の針孔の中でとまり、これ以上ほつれるのを防ぐことが出来ます。
こちらの方法は、ライターであぶるよりも、見た目はあまり綺麗では無いですが、火が使えない場合は、有効な方法です。
次回は、”自分で出来る革製品のほつれ補修【手縫い編】”として、手縫いで縫製する方法を予定しています。